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最高裁判所第一小法廷 昭和26年(あ)2837号 判決 1954年1月21日

主文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

弁護人三宅辰雄の上告趣意第一点は判例違反を主張するけれども、所論引用の大審院判例は、本件のような賍物故買と食糧管理法違反の案件には、適切でない。そして、粳籾を賍物である情を知りながら買受けた賍物故買の罪とこれを運搬移動した食糧管理法違反の罪とは、その犯罪取締の目的とその法益とを異にするものであって、通常手段、結果の関係ありとは認められないから、いわゆる牽連犯ではなく、併合罪であること論を俟たない。それ故、所論は、採用できない。

同第二点は、事実誤認の主張であって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四〇八条、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 真野 毅 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 岩松三郎)

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